司法書士フィオルーナ法務事務所


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奨学金の債務整理について

大学、短大進学者の2人の1人が奨学金を利用していると言われています。

●就活に失敗して非正規社員になり、給料は生活費だけで一杯一杯。
●リストラ、会社の倒産で職を失い消費者金融から借入し、以降、返済に追われる日々。

様々な理由で奨学金の返済に苦しんでいる方が多くいらっしゃいます。

多くの方の奨学金の返済額は月1~3万円前後で、返済期間は13~20年となります。

奨学金の金利は消費者金融に比べてかなり低利(又は無利子)で月々の返済額は高額ではありませんが、元本が大きく返済期間が長いのが大きな負担になります。

長い返済期間の中で、リストラや病気、生活費不足等の想定外の支出のために消費者金融から借入し、以後返済に追われ奨学金の返済もできなくなり破綻してしまうケースが多いです。

奨学金を滞納したらどうなる?

日本学生支援機構は、滞納した場合、本人及び保証人に文書と電話で支払の督促を行うとホームページで表明してます。

保証人に連絡されたくない方は、滞納してしまったら、すぐに滞納した額の返済予定を機構に連絡して保証人へは通知しないようにお願してみましょう。

また、日本学生支援機構は全国銀行個人信用情報センターに加盟しているので、3か月以上延滞した場合は、信用情報機関へ事故登録されることになります(いわゆるブラックリストに登録される)。

消費者金融等からの新たな借入、ローン、クレジットカードの使用が制限されることになります。

滞納した場合の機構の対応

本人、連帯保証人、保証人に対して、文書と同時に電話による督促。機構が委託した債権回収会社による電話、文書および自宅等への訪問による督促が行われる。

機構は滞納金取立を民間委託しています。

民間企業が取立業務を行っている以上、回収率が意識されていることが予想されます。

つまり、奨学金と言えども取立はあまくないです。

以降のステップを見れば分かりますが、奨学金は低利ですが「消費者金融からの借入と変わらない」と認識下さい。

督促しても返還しない場合は、返還期限が到来していない分を含め、返還未済額の全部、利息および延滞金の一括返還を請求し、支払督促の申立を予告する。

※支払督促とは、機構が「裁判所」を介して奨学金の返済を督促する方法です。この後の仮執行宣言付支払督促が行われると、裁判なしで給料等を差押えることができます。


支払督促予告で支払いを求めた返還期限を過ぎてもなお返還しない場合は、裁判所に支払督促の申立をする。返還未済額の全部、利息および延滞金の一括返還を請求し、支払督促の申立をする。

支払督促の申立をしてもなお返還しない場合は、裁判所に仮執行宣言付支払督促の申立をする。

支払督促申立後2週間以内に裁判所に異議申立をすれば、仮執行宣言は付されません。この場合、裁判に移行することになります。

仮執行宣言付支払督促の申立をしてもなお返還しない場合は、強制執行の手続きをとる。

強制執行とは、給与等の財産を差押えるということです。給与の場合、全額ではなく、4分の1が差押えの範囲になります。

日本学生支援機構HPより

奨学金の任意整理

結論から言えば、奨学金に任意整理は適しません。

まず、日本学生支援機構自体が任意整理に応じないことが多く、また、低金利の奨学金に将来利息カットが目的の任意整理では大きな効果が得られません。

現実的には、奨学金以外の借金を任意整理して返済額を減らし、浮いた分を奨学金返済に回すことで完済を目指すことになります。

この方法のメリットは、奨学金の保証人となっている方に債務整理を知られず、迷惑をかけなくて済むことです。

保証人である親や親族に借金苦を知られたくない場合は、借金が大きく膨れあがる前にこの方法を検討して下さい。個人再生や自己破産になると、保証人に請求がいくので保証人に知られずに手続することはできません。

奨学金と個人再生・自己破産

奨学金を対象に個人再生や自己破産をすることは可能です。対象は全債権になるので、奨学金も含め全ての借金が対象になります(個人再生では住宅ローンだけを除外できる場合があります)。

逆に言えば、奨学金だけを除外することはできません。

ここで問題になるのが、保証人の存在です。機関保証であれば問題ありませんが、人的保証であれば必ず保証人に請求がいきます。

しかも、一括返済請求です(交渉によっては、分割返済に応じてくれる場合があります)。

保証人が支払えない場合は、保証人にも債務整理手続きが必要になり、債務整理の連鎖が生じてしまいます。

保証人に経済的余力があれば、正直に債務整理手続きをすることを伝えて、手続が全て終わった後に少しずつ返済することで代わりに支払ってもらうようにお願いしてみることをご検討下さい。

奨学金での保証人の責任

奨学金を受ける場合、保証人と連帯保証人を付ける必要があります(機関保証にすれば不要)。

「連帯保証人」は債務者と同じ責任を負います。

対して「保証人」保証人の頭数で割った金額の返済義務を負います(分別の利益といいます)。
連帯保証人も保証人なので、連帯保証人と保証人が各1名で返済残額が300万円の場合、300万円を保証人の数の2で割った150万円が「保証人」の返済義務となります。

※過去、機構は分別の利益による責任範囲を説明せずに、「保証人」に全額請求していたことが発覚し社会問題となりました。機構側の言い分は、保証人から分別の利益により半額しか払わないと言われたときは半額請求にしていた・・・だそうです。
「保証人」であるときは、しっかり頭数で割った分しか払わない!と主張して下さい。

奨学金の返済は契約時に返済期間が取り決められます。

この返済期間を「期限の利益」と言い、例えば、15年であれば、15年に分けて返済していくことになり、言い方を変えれば15年間借りた状態でいられる権利であり、期間を短かくされたり、一括で請求されないという権利でもあります。

しかし、返済を滞納した場合、契約上この「期限の利益」は喪失します。喪失するという事は、機構から債務者だけでなく保証人も一括請求されるということです。

債務者は個人再生、自己破産で減額、返済免責を受けても、その効果は保証人には及ばないので、連帯保証人は残額全額、保証人は責任範囲の額の一括支払い義務が生じます。

奨学金返済が厳しくなったら検討する3っの事

保証人に返済を肩代わりしてもらえる方は多くはありません。保証人に支払う余力がない場合や、それ以前に、保証人には知られたくない、迷惑をかけたくない・・と思われる方がほとんどです。

人的保証人がいる方は、次の順で検討して下さい。

1. 政府、自治体、企業の奨学金返済支援制度を検討する。条件がありますが、無償支援なので積極的に検討して下さい。(公的支援は変更されますので最新をご確認下さい)
北九州市:年間13万を3年間(上限)支援。
福岡市:保育士に対する返済補助制度あり。
勤務先に奨学金返済補助制度があることがあります。(ただし、利用するには条件、制限があるので内容をしっかり確認下さい)。
2. 奨学金機構の支援制度を検討する(期間延長による返済減額、返済期限の猶予等)。
日本学生支援機構(JASSO)での救済策はこちら
3. 個人再生、自己破産を検討する。